治療としての
がん免疫療法
Cancer Immunotherapy Treatment

一般的ながんの治療法

【外科手術】がんが特定の部位に限局している場合、がん病巣を直接的に切除する方法です。特に早期がんでは根治が期待できるため、第一選択肢となることが多いです。しかし、がんが広範囲に広がっている場合や転移が見られる場合には、手術単独では効果が限られることがあります。

【化学療法】抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を抑えたり、破壊したりする治療法です。全身に作用するため、手術で取りきれないがんや、転移したがんに対しても効果が期待されます。ただし、抗がん剤は正常な細胞にも影響を与えるため、吐き気、倦怠感、脱毛などの副作用が発生することがあります。治療の進展により、がんの種類や患者の状態に合わせたターゲット治療薬や免疫療法などが化学療法と併用されることも増えています。

【放射線療法】高エネルギーの放射線を用いて、がん細胞のDNAを破壊し、増殖を抑える治療法です。特定の部位に照射するため、局所的な治療として有効であり、手術が難しいがんや再発リスクのあるがんに使用されます。副作用として、治療部位の周辺の正常組織にダメージを与えることがありますが、技術の進歩により、正常細胞への影響を最小限に抑える方法も開発されています。

第4のアプローチとしてのがん免疫療法

がんの治療法は、標準治療以外にもさまざまなアプローチがあり、注目を集めている治療法ががん免疫療法です。
がん免疫療法とは、体に備わっている免疫の力を高め、より効果的にがん細胞を攻撃する治療法です。
標準治療との併用も可能で、抗がん剤に比べて副作用が少ないことなどが特徴として挙げられます。

免疫はあらゆる病気から身を守ってくれる存在です。
がんの治療においても不可欠で、免疫力を高めることで治療効果の向上や再発防止、予防、標準治療の副作用の軽減などが期待できます。

BCG‐CWS免疫療法は、
がん治療としての
長い歴史と豊富な実績を誇っています

免疫療法の第一人者である故 林 昭先生が開発したがん治療法です。1970年代、大阪大学の故 山村雄一総長の教室で、結核患者のがん発症率の低さに着目して研究が開始されました。その後、林先生が大阪国際がんセンター(元大阪成人病センター)などでの臨床研究と改良を重ね、令和6年10月現在までに3,394名の患者さまに提供させて頂いております。

肺がん患者の治療方法の比較

大阪大学元総長山村先生執筆の肺がん患者の5年後の生存率についての論文

がんと診断されて5年後の生存率

メカニズム

BCG-CWS免疫療法は「結核患者にがんの有病者が非常に少ない」ことに着目し開発された治療方法です。結核菌の細胞壁であるCWSを用いた特殊な製剤を注射し、体内に浸透させます。なお、生きた結核菌を使用しないため、結核感染のリスクはありません。

投与されたBCG-CWSは、体内にある免疫システムの「司令塔」である樹状細胞にがんの目印を与え、活性化します。樹状細胞は、免疫システムの中で非常に重要な役割を果たす細胞で、がん細胞を認識し、他の免疫細胞に「攻撃命令」を出します。

BCG-CWSが樹状細胞にがんの情報を与え、樹状細胞ががん細胞の特徴を免疫システム全体に伝えることによって、免疫細胞ががん細胞をより効果的に認識できるようになります。

樹状細胞からの指令を受けた免疫細胞(リンパ球)が、がん細胞のみを狙って攻撃を始めます。

高濃度ビタミンC点滴の併用(Mylan社製)

高濃度ビタミンC点滴は、ビタミンCが生成する過酸化水素が、がん細胞のみを選択的に攻撃するため、副作用が少なく安全性が高い治療法として注目されています。血管を広げる作用によって、BCG-CWS製剤の浸透をより高める効果が期待できます。従って当院では併用した治療をご提供しています。安全性に徹底的に配慮し、防腐剤の入っていないMylan(マイラン社)製の製剤を使用しております。治療としての有用性はもちろん、抗酸化作用や免疫力向上効果が、痛みや倦怠感、不眠などのがん標準治療による様々な症状を和らげ、患者さまの生活の質を支えます。

副作用について

副作用は、主に接種時のツベルクリン反応のみでこれまで50年の歴史のなかで命にかかわる重大な副作用や医療事故は報告されておりません。

・注射部位の発赤 (ツベルクリン反応)
・希に微熱やリンパ節の腫れ (一時的)

※反応が目立たない腋窩(脇)や鼠渓径部(足の付け根)に投与します。

がんの再発防止としても豊富な実績があります

BCG-CWS免疫療法はがんの再発防止でも注目されています。手術や化学療法でがんを除去した場合でも、わずかに残されたがん細胞が増殖し、がんが再発するケースがあります。BCG-CWS免疫療法では、「免疫システムの司令塔」である樹状細胞にがん細胞の情報を記憶させます。また、がん細胞を攻撃する免疫系統そのものを上昇させるため、あらゆるケースの再発防止に高い効果が期待できます。